レッスン 2
その集計ミス、データが原因だった
前処理の2時間が、どれだけコストになるかを見える化します。
このレッスンでわかること
- 前処理の手間を、金額で考えられる
- データの汚さが、個人ではなくチーム全体の損失になるとわかる
- なぜ改善が後回しになりやすいのか、その構造が見える
「ちょっと直すだけ」が毎月積み上がる
たとえば、売上表に全角数字や空欄やメモが混じっていると、集計の前に必ず手直しが必要になります。
1回は小さく見えても、毎月くり返すと無視できないコストになります。
月次売上まとめ.xlsx
| 店舗名 | 売上 | 困ること |
| 松本店 | 561,000 | 全角なので数値として扱えない |
| 長野店 | 598000 | 問題なし |
| 小計 | ★要確認 | 小計とメモが混ざり、再集計できない |
| 飯田店 | 空欄 | 確認のため差し戻しが発生する |
-
1
入力を見直す
全角数字や空欄を探して、元の表を修正する。
-
2
集計をやり直す
直したあとに、関数やピボットをもう一度走らせる。
-
3
AIにも渡せない
列や型が乱れていると、CopilotやChatGPTにもそのまま見せづらい。
前処理コストを計算してみよう
初期値はドキュメントの想定どおり、残業単価 3,000円 / 時間、前処理 2時間 / 月です。
- 月あたり
- ¥
- 前処理のたびに消えるコスト
- 1年で
- ¥
- 12か月くり返した合計
- 10年で
- ¥
- 見えにくいけれど大きい固定損失
| 状況 | 試算 |
|---|---|
| 毎月の前処理2時間 × 1人 | ¥ / 月 = ¥ / 年 |
| 担当者が3人いる場合 | ¥ / 年 |
| 10年続けると(3人の場合) | ¥ |
| 確認・差し戻し込みで月4時間なら | ¥ / 年(1人あたり) |
なぜ改善されにくいのか
コストを払う人と、問題を起こした人が違います。これが構造的な原因です。
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A
営業担当が売上を入力する
全角数字・空欄・メモ混じりで入力しても、その場では「入力完了」。困っていないので直す理由がない。
-
B
集計担当が毎月2時間、手直しする
全角を半角に直し、空欄を確認し、小計行を除く——この作業を毎月くり返す。Aさんは知らない。
-
C
上司は完成したレポートだけを見る
裏でかかったコストは見えない。「毎月問題なく上がってくる」ので、改善の指示も出ない。
だから「気をつけよう」では変わらない
Bさんがどれだけ困っても、AさんもCさんも問題に気づきません。
個人の意識より、入力ルールや仕組みで防ぐことが有効なのはこのためです。
この問題は日本全体でも起きています
データリテラシー不足による生産性の損失は、日本全体で年間 約1.6兆円 と試算されています(Qlik調査)。
職場の「ちょっとした手直し」が、実は大きな構造的コストの一部です。
次のレッスンでやること
「損だ」とわかっただけでは足りません。次は、どういう形なら壊れにくいのかを学びます。
- L3
- 1行1件・1列1種類のルールで、良い表と悪い表を見分けます。
- L4
- 数字・日付・テキストの入力規則を使って、間違えられない入力を作ります。
やってみよう
問題 1
残業単価 3,000円 / 時間で、前処理が月2時間なら、1人あたり月いくらですか?
問題 2
前処理が月2時間で、同じ作業を3人がしている場合、1年ではいくらになりますか?
問題 3
データの汚さが改善されにくい大きな理由はどれですか?