レッスン 1
もらった表が使えない。なぜ?
売上表のあるあるから、「神Excel」の正体を見つけます。
このレッスンでわかること
- 引き継ぎで困る表に共通する特徴がわかる
- どこが問題かを見つけられる
- AIや集計で使いやすいデータの形がわかる
こんな表、見たことはありませんか?
同僚から引き継いだ売上表を開いたら、色分けだらけで、小計行が混ざり、数字が全角になっている。
人には読めても、集計や並び替えをしようとした瞬間に止まってしまう。そんな表は仕事の現場でよくあります。
このレッスンの前半では、まずダミーの売上データで「どこが困るのか」をつかみます。
後半では、長野県の実データをきれいにして、本物の公開データでも同じ考え方が使えると確かめます。
AIとのつながり
CopilotやChatGPTに業務データを渡したくても、列名があいまい、数字が文字列、小計行が混ざっている状態では正確に読めません。
「きれいなデータ」は、AIを使いこなすための前提条件でもあります。
まずは「困る表」を見てみよう
同僚から引き継いだ月次売上表、という設定のダミーデータです。職場の売上表や顧客一覧に置きかえて考えてみてください。ボタンを押して、どこが集計を止めるのか探してみましょう。
月次売上まとめ.xlsx
| 2025年春 店舗別売上まとめ(手入力版) | |||
| 店舗名 | 4月売上 | 5月売上 | 6月売上 |
| 松本店 | 540,000 | 558,000 | 561,000 |
| 長野店 | 612,000 | 605,000 | 598,000 |
| 小計 | 1,152,000 | 1,163,000 | ★要確認 |
| 上田店 | 423,000 | 418,000 | 420,000 |
| 飯田店 | 389,000 | 382,000 | |
| 佐久店 | 355,000 | 368,000 | 372,000 |
| 合計 | 1,930,000 | 2,338,000 | 2,333,000 |
ボタンを押すと、問題のある場所が光ります。
この表には名前があります
こういう「人には読みやすいが、集計したりAIに読ませるにはつらい表」を、「神Excel(紙Excel)」と呼びます。
紙の代わりとして作られたため見た目を整えることが優先され、データとして扱いにくい状態です。
4つの問題を取りのぞくと
表の形はそのままで、4つの問題だけを取りのぞきました。さっきの表と見比べてみましょう。
問題を取りのぞいた表
| 店舗名 | 4月売上 | 5月売上 | 6月売上 |
| 松本店 | 540000 | 558000 | 561000 |
| 長野店 | 612000 | 605000 | 598000 |
| 上田店 | 423000 | 418000 | 420000 |
| 飯田店 | 382000 | 389000 | 382000 |
| 佐久店 | 355000 | 368000 | 372000 |
- ① 全角数字
- すべて半角の数字にそろえた
- ② 小計・合計行
- 消した。合計はデータの中で表示するのではなく、見せるためのページを別で作る
- ③ 空白行
- 削除して、間を詰めた
- ④ メモ・空欄
- メモは消し、空欄は確認した数字で埋めた
これで、1行には1店舗分のデータだけ、数字の列には数字だけが入った状態になりました。
SUM関数も並び替えも、そのまま使えます。
もっと集計しやすい形もあります
月を横に並べるこの形は、人が読むにはわかりやすい形です。
月を縦に並べて、さらに集計しやすくする方法はレッスン3で学びます。
きれいなデータは、個人技よりルールで決まる
データが汚れて困るのは、入力した本人ではなく、あとで集計する人や判断する人であることが多いです。
だからこそ、気合いではなく入力ルールや役割分担で防ぐ必要があります。
- 入力する人
- 全角数字や自由なメモを入れないよう、入力時点でルールを決める。
- 整える人
- 毎月どのような修正作業に時間を取られているか見える化し、入力時点できれいなデータにしてもらえるよう改善につなげる。
- 管理する人
- 入力ルールの責任者を決め、チーム全体で同じ表の形を守る。
実際にやってみよう:長野県の実データをきれいにする
ここからは本物の公開データです。前半で見た考え方が、職場データだけでなくオープンデータにもそのまま使えると確かめましょう。
元のデータは閲覧のみです。「ファイル → コピーを作成」で自分のドライブにコピーしてから作業してください。
-
1
使うシートを選ぶ
画面下部のシートタブから「市町村別人口と世帯数及び人口動態 (総数)」を選びます。
-
2
新しいシートを追加してヘッダーを入力する
画面左下の 「+」 ボタンで新しいシートを追加します。シート名は「2025きれいなデータ」などにしましょう。
A1〜E1に 市町村名 / 年 / 総人口 / 男 / 女 と入力します。 -
3
必要な範囲をコピーする
元のシートに戻ります。画面左上の名前ボックス(セル番地が表示されている欄)に
A9:E100と入力して Enter を押すと、市町村のデータ全体が選択されます。Ctrl + C(Macは⌘ + C)でコピーします。 -
4
新しいシートのA2に「値のみ」貼り付ける
新しいシートの A2 を選択し、
Ctrl + Shift + V(Macは⌘ + Shift + V)を押します。
「値のみ貼り付け」を選ぶと、数字だけがコピーされ、元の書式は引き継がれません。 -
5
フィルターで不要な行を削除する
「データ」メニュー →「フィルターを作成」を選びます。
A列のフィルタードロップダウンをクリックし、検索欄に 「郡」 と入力します。
「郡」を含む行だけが表示されるので、それらを選択して右クリック→「行を削除」します。
同じ手順で 「計」 を含む行(市 計など)も削除します。
最後に「データ」→「フィルターをオフ」にします。 -
6
B列を「年」にする
いまB列には、元のデータの世帯数が入っています。今回は使わないので、年で上書きします。
B2 に2025と入力してコピーし、B3から最後の行までを選んで貼り付ければ完了です。「年」の列があると、あとで2023年や2024年のデータを下に足しても、どの年の数字か区別できます。
やってみよう
問題 1
ダミー売上表の「6月売上」の列を、SUM関数で合計することはできますか?
問題 2
困る表には、問題が何個ありましたか?
問題 3
問題を取りのぞいた表では、1行に何店舗ぶんのデータが入っていますか?