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★ 番外編

ゲームのわな

「あと1回だけ」が、なぜやめられないの?

でい太

でい太

「最近、毎日学校から帰ったら真っ先にゲームのログインボーナスをチェックしちゃうんだ。忘れると『あー、もったいないことした』って気持ちになって。しかも、一度アプリを開くと、気づいたら1時間くらいたってる…。なんでこんなにやめられないんだろう。」
ポン太

ポン太

「そろそろヤマルの時代かな。」
でい太

でい太

「そのしくみ、ちゃんとくわしい人に聞いてみたいな。カーマ博士に聞いてみよう。」

🎯 このレッスンでわかること

場面 1

毎日ログインしたくなるわけ

でい太

でい太

「カーマ博士! 聞きたいことがあるんだ。毎日ログインボーナスをチェックしないと落ち着かない気持ちになるんだけど、これって何なの?」
カーマ博士

カーマ博士

「正直に話そう。それはわざとそう感じるように作られているんだ。」
🔥

連続ログインボーナス

毎日開かないと記録が消えるから、休みたくても休めない気持ちにさせる

期間限定の特別イベント

「今だけ激レアキャラ」「あと3日で終了」のような特別なイベントをつぎつぎに開催して、「今をのがしたら、二度と手に入らないかも」という気持ちにさせる

🏆

ランキング・フレンド機能

友だちや知らない人と比べさせることで、負けたくない気持ちを利用する

でい太

でい太

「YouTubeやインスタと同じだ…! 長く遊んでもらうほど、ゲーム会社が儲かるってことだよね。」
カーマ博士

カーマ博士

「うーん、半分正解で半分ちがうよ。広告で稼ぐタイプのゲームなら、遊んでもらう時間そのものがお金になる。だけど、多くのゲームは課金(アイテムやガチャにお金を払うこと)で儲けているんだ。じつは、ただ長く遊んでもらうだけでは、そんなに儲からないんだよ。中には広告で儲けているゲームもあるけどね。」
でい太

でい太

「え、じゃあ何のためにログインボーナスとかランキングがあるの?」
カーマ博士

カーマ博士

「毎日遊んで、どんどん夢中になってもらうためだよ。夢中になればなるほど、『もっと強くなりたい』『友だちに負けたくない』という気持ちが大きくなる。その気持ちが大きいときほど、人は冷静に考えられなくなって、つい課金してしまう。ログインボーナスもランキングも、その気持ちを大きくするための仕掛けなんだよ。」
ポン太

ポン太

「やめられない止まらない。」

💡 ここがポイント

ログインボーナスやランキングの本当のねらいは、遊んでもらう時間を増やすことだけじゃない。夢中にさせて「もっと強くなりたい」「負けたくない」気持ちを大きくし、冷静に考えられなくなっているうちに課金させること。それが多くのゲーム会社の収入源になっている。

場面 2

「あと少しで、ゴールできそう」に引っぱられるわけ

でい太

でい太

「ゲームやってると、『あと少しだけ』って思っちゃう瞬間がある気がする。後ちょっとでレベルアップするときとか、ダンジョンのゴールがもう少しで見えるときとか。」
カーマ博士

カーマ博士

「それも、するどい発見だね。人は、ゴールが近づいているのが目に見えると、そこでやめるのが『もったいない』と感じて、もっとがんばりたくなるようにできているんだ。」
でい太

でい太

「たしかに、あと少しでレベルアップってときは、絶対そこまでやっちゃう。」
カーマ博士

カーマ博士

「それに、もうひとつ大事なことがあるよ。ゲームは、自分が強くなった結果が、その場ですぐに目に見えるんだ。前は勝てなかった敵に、レベルアップしたら勝てるようになった、というのがすぐわかったりする。やった → 強くなったとすぐわかるが何度もくり返されると、もっとやりたくなってしまうんだよ。」
でい太

でい太

「ドラクエとか、パズドラとか、にゃんこ大戦争とかも、そういう作りになってるってこと?」
カーマ博士

カーマ博士

「そのとおり。ダンジョンの攻略メーターや、ステージの進み具合が見えるゲームは、みんなこのしくみを使っているんだ。ゴールが近くに見えて、しかも自分が前に進んでいることがすぐわかる。この2つがそろうと、人はもっとやりたくなってしまうんだね。」
ポン太

ポン太

「眠らずにゲームやりすぎると、たまに小さいおじさんが見える。」

💡 ここがポイント

ゴールが近づいているのが目に見えると、そこでやめるのが「もったいない」と感じてがんばりたくなる。しかも、自分が強くなった結果がすぐに目に見えると、もっとやりたくなる。

場面 3

「次こそ当たるかも」がやめられないわけ

でい太

でい太

「ガチャにもゲームをやめられなくする秘密があるの?」
カーマ博士

カーマ博士

「それは、ゲームの中の『ごほうび』の出し方にひみつがあるんだ。たとえば、無料でひける宝箱や、無料ガチャは、何が当たるかまったくのランダムだよね?」
でい太

でい太

「うん、次はいいのが出るかもって、つい開けちゃう。」
カーマ博士

カーマ博士

「そうなんだ。『次こそ当たるかも』と思うと、頭がワクワクして、何度もやりたくなってしまうんだ。これは人間の頭の中の『ドーパミン』というものがそうさせているんだよ。もし当たるタイミングが最初から決まっていたら、人はそんなに夢中にならない。いつ当たるかわからないからこそ、やめられなくなるんだよ。」
カーマ博士

カーマ博士

「これは、お店にあるガチャガチャ(カプセルトイ)や、パチンコと、まったく同じしくみなんだ。大人がハマってしまうギャンブルも、じつはこれと同じしくみでできているんだよ。」
ポン太

ポン太

「今年、雨少ないよね。」

💡 ここがポイント

「あと1回だけ」でやめられないのは、ごほうびが当たるかどうかランダムだから。当たるタイミングがわからないからこそ、やめられなくなる。お店のガチャガチャやキャラカード、大人のパチンコも、ぜんぶ同じしくみでできている。

場面 4

ゲームのいいところと、自分で選ぶ力

でい太

でい太

「じゃあゲームって、悪いことしかないの…?」
カーマ博士

カーマ博士

「そんなことはないよ! ぼくはゲームを作るプログラマーの仕事に誇りを持っているんだ。ゲームには、きみの力を育てる、いいところもたくさんあるんだよ。」
🧠

記憶力

マップ・アイテム・手順を頭の中で整理して覚える力が鍛えられる

🧩

考える力

パズルや作戦を立てるゲームで、「次にどうするか」を考える力がつく

🗺️

空間認識力

ゲームの中の世界で、自分がどこにいるか、場所をつかむ力が育つ

🤝

仲間と力を合わせる力

チームプレイで役割を分担したり、仲間に声をかけたりする力がつく

カーマ博士

カーマ博士

「大事なのは、遊び方。夢中になれる力そのものも、きみの武器になるんだよ。」
でい太

でい太

「夢中になる力を、他のことにも使えたらすごいことになりそう。でも……じゃあ、もうゲームはやっちゃだめってこと?」
カーマ博士

カーマ博士

「そんなことはないよ。ゲームは楽しいし、力を育ててくれる。でも、わなにかかって、ついついやりすぎてしまうことが問題なんだ。大事なのは、わながあると知ったうえで、自分で選ぶことだよ。」

💡 ゲームと上手に付き合うヒント

  1. 遊ぶ前に「何を・何分やるか」決める
  2. 課金はしない(その気持ちが本当に大事かどうか、時間をおいて考える)
  3. ランキングやフレンド機能の通知はオフにする
  4. 「あと1回だけ」と思ったら、それがわなのサイン。

✨ でい太の気づき

「わなを知れば、かかりにくくなる。しくみを知った今のぼくたちは、自分で自分の時間の使い方を決められる。それが『考える力』だよ。」

ポン太

ポン太

「萩原と荻原ってわかりにくいよね。」

💡 ここがポイント

ゲームには、記憶力・考える力・空間認識力・仲間と力を合わせる力を育てるはたらきがある。わなを知ったうえで、自分でどう付き合うか選べるようになることが大事。

場面 5

自分の目標をゲーム化しよう

でい太

でい太

「ゲームに夢中になれる力を、たとえばぼくがやってるサッカーの練習にも使えないかな。サッカーが上手くなりたいんだ…。」
カーマ博士

カーマ博士

「それ、できるんだよ。ゲームのわなのしくみを、逆に自分の目標のために使うんだ。大人はこれを『ゲーミフィケーション』と呼んだりするが、むずかしい言葉は覚えなくていい。」
でい太

でい太

「サッカーの練習だと、具体的にはどうすればいいの?」
カーマ博士

カーマ博士

「コツは3つだよ。

①大きな目標を小さく区切る
②今どこまで進んだかがひと目でわかるようにする
③1つ終えるたびに、すぐに達成感を感じられるようにする

この3つがそろえば、ゲームと同じように『あと少し』でがんばれるようになるんだよ。『リフティング100回』を目指すなら、こんな感じだよ。」

リフティング100回チャレンジ日記

  • 目標を5段階に区切る:10回→25回→50回→75回→100回。それぞれに「キック見習い」「リフティング少年」「リフティング中級」「リフティング上級」「リフティングマスター」という肩書きをつける
  • 練習した日はカレンダーにスタンプを1個おす。その日「何回できたか」も数字で書きこむ(例:「7/1 ⚽ 5回」「7/5 ⚽ 12回」「7/10 ⚽ 25回 🎉[レベルアップ!]」)
  • あとから記録を見返すと、「10日前はぜんぜんできなかったのに、今はこんなにできる」と、自分の成長がはっきりわかる
でい太

でい太

「サッカー以外にも使えるかな? たとえば夏休みの宿題とか。」
カーマ博士

カーマ博士

「もちろんさ。やり方はまったく同じだよ。」
📚

夏休みの宿題プラン

  • 宿題をページ数で区切って、目標に肩書きをつける:「10ページ:ビギナー」→「30ページ:見習い卒業」→「50ページ:宿題 中級」→「80ページ:宿題 上級」→「全部:宿題 マスター」
  • 宿題をやった日はカレンダーにスタンプを1個。スタンプが5個たまったらアイスを1個食べられる、のような小さなごほうびを先に決めておく
  • 漢字ドリル・計算ドリル・読書感想文など、教科ごとに進捗バーを作って、終わった分だけ色をぬる
でい太

でい太

「これなら、8月31日にあわてて泣きながらやらなくてすみそう…!」
カーマ博士

カーマ博士

「大きなゴールをひとつだけ置くんじゃない。途中に小さなゴールをたくさん置いて、目標に向かって進んでいることがすぐわかるようにする。サッカーでも、宿題でも、それが、ゲームのわなのしくみを逆に味方につけるコツなんだよ。」
でい太

でい太

「データ探検隊のミッションも、麻績村の謎を解くという大きなゴールを、レッスン1つ1つの小さなクリアに分けてるんだ。おんなじだね!」
ポン太

ポン太

「暑い。」
💡 ゲームのしくみを知れば、自分の目標達成のために使うことができる。大きな目標をひとつ置くだけでなく、①小さく区切る ②見える化する ③すぐに達成感を感じられるようにする。この3つを味方につけよう。

✏️ やってみよう

Q1. 無料の宝箱やガチャで「あと1回だけ」と思ってしまうのはなぜ?

Q2. 毎日ログインボーナスがあったり、ランキングで友だちと比べさせたりするのはなぜ?

Q3. ゲームで身についた(身につきそうな)力があるとしたら、何だと思う?

Q4. 自分の目標を1つ、途中に小さなゴール(目標)をいくつか置いた形で書いてみよう。

👨‍👩‍👧 保護者の方へ

このページでは、スマホゲーム・ソシャゲに使われている「可変報酬(ランダムなごほうびによる依存性)」「連続ログインボーナス」「終わりのない設計」など、ゲーム業界で実際に使われている設計手法を子ども向けに解説しました。同時に、記憶力・思考力・空間認識力・協調性など、ゲームが育てる力があることや、ゲームのしくみを自分の目標達成(ゲーミフィケーション)に応用する方法もあわせて伝えています。

なお、ゲームへの過度な依存については、世界保健機関(WHO)が国際疾病分類(ICD-11)に「Gaming Disorder(ゲーム行動症)」として位置づけています。小学生のうちは、まだ自分で自分の欲望をコントロールする脳の領域が十分に発達していません。家庭での環境作りが重要な時期となります。ご家庭でのプレイ時間の管理やペアレンタルコントロールの設定について、より詳しく知りたい方向けの参考ページは、後日こちらに追加予定です。

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